ここが変だよ!WEB小説~面白ポイントからツッコミまで~

なろう系を始めとしたWEB小説について書くブログ

ツイートから読み取る「小説家になろう」BAN考察①

小説投稿サイトの古参「小説家になろう」が以下の注意喚起を出したことによって、BAN祭りが開催されるのか?と界隈がざわついている。

blog.syosetu.com

ざっと要約すると、

 

外部で不正に評価ポイントを増加させるサービスの提供を確認したぞ。
うちでは評価を依頼することは禁止だから、「作品の宣伝やランキング入りさせてあげますよとか言って、有料で評価を請け負うサービス」は使わないでね。もしサービスの利用がわかったら、予告なしで厳しく対応するからな!(もしそういうサービスを見つけたら、運営に教えてくれると嬉しいな!)

 

という感じである。

 

ようするに、「1000円くれたら1000ポイント入れてやるよ、そしたらランキング入りできるだろ?」みたいなことを言っている奴に依頼したら、作品どころかアカウントまでBANされかねないということである。おおかた複数のアカウントを作成して評価点を入れるということだろうが、元手タダで少しの手間だけで金が稼げるのだから楽なものだろう。やりた……冗談です。

 

さて、これでBAN祭りとなるのかどうかは運営のみぞ知るところではあるが、そもそも「何をもってBANされるんだ?」という疑問からこういった騒ぎになっているのだと思われる。

 

当然ながら、運営側はわざわざ「こういう理由でBANしたぞ」とは言わない。それによるユーザー側の嘆きはTwitterでもよく流れている。そうは言っても本人には通告されているのだろう。と思ったら、割とそうでもないようだ。

運営からのメールを晒している人のツイートを確認すると、テンプレートと思わしき文面で淡々と粛々と処理されるのみ。これでは確かに「無実の罪で……」と怯える人が出るのも仕方がない。童貞運営はもうちょっとデレを覚えた方がいい。

 

ただ逆に「こんな程度でBANされた!」と言っている人たちの言い訳嘆きツイートを眺めていると、

そりゃBANされるやろ

という場合もあるが、その内容からは大体の対応基準が見えてくる。

 

以下はあくまで個人の考察である。そして、今回の話題を取り上げるにあたり既にBANという処分を受けている人に対する死体蹴りの意図はないため、BANされた旨を伝える当該ツイートや当人を晒すことはしない。個人の考察である上に情報元となるツイートの掲載もしないため、ここにない行為はやっても問題ないなどと保証するものではないことを理解の上、自己責任で閲覧をお願いしたい。

 

 

 

まず、『小説家になろう』は上で紹介した記事にある通り、「特定の作品に対し評価の入力を依頼し、ランキングや評価システムの信用を毀損する恐れのある行為を禁止しております。」と言っている。

単純に「ランキングや評価システムの信用を落とさないでくれ」と言っているのだ。

つまり、本来は多くの読者によって評価されることでランキング入りを果たすことが正であり、特定の作品に対して「同一人物が大量に評価点を入れること」「複数の人物が正当な理由なく評価点を入れること」は誤りであるということだろう。

クラスター票はいいのか!?と憤る人もいるかもしれないが、「正当な理由」があれば評価しても問題ないことは読み取れる。では、正当な理由とは何か。運営側が今回警告を出している内容の逆、「対価を得た、または得るための評価ではないこと」だろう。

つまり、読んだうえで評価するなら問題ない。

というか、それが普通の利用方法である。わざわざ遠回りをする必要はない。シンプルな話である。不正すんなって言ってんだよということだ。

 

では、それを念頭に置いて、確認していこうと思う。

 

複数のアカウント所持・不正な評価点の追加

BAN報告をしていたツイートの主な主張内容をざっと並べてみよう。

  1. スマートフォンや携帯電話を家族と共有していたらBANされた
  2. 家族と同じPCを使っていたらBANされた
  3. 友達の家でPCを借りてログインしたらBANされた
  4. 職場/学校のPCを使っていたらBANされた
  5. 職場/学校のWi-Fiを使っていたらBANされた
  6. 店のWi-Fiを使っていたらBANされた
  7. 友達の家のWi-Fiを使ってログインしたらBANされた
  8. たまたま自分の作品を家族が評価・ブックマークをしたことでBANされた
  9. 何もしていないのに急にBANされた

まず「9」については個人的には全く信用できないと言える。何もしていないのにPCが壊れたと言っている人と同じようなものである。何かはしている。何をしたのかが分からないだけだろう。運営が悪意を持ってBANしたのだ! これは嫌がらせだ!!という主張もあるだろうが、法人化している運営がそのようなことはしないだろう。運営側が善人であるという意味ではない。

広告掲載で収入を得ている以上、ひとりでも多くの利用者を確保した方が儲かるからである。

つまり、悪意を持ってBANするメリットが運営側にはない。

 

まずは「1.スマートフォンや携帯電話を家族と共有していたらBANされた」

そもそも共有するのか?という疑問はある。例えば、子どもが親のスマホを使って遊ぶ、なんてことはよくある話だ。昨今、小学生でスマホを所持しているなどスマホデビューの低年齢化が進んでいるとはいえ、特に未就学児の場合は親の端末を借りることもあるだろう。

では、未就学児が自らアカウントを取得した上で日々利用しているのかといえば、それは考えにくい。メールアドレスを確保し、自らアカウントの登録を行い、毎回ログアウトとログインを繰り返して利用している──というのは、さすがに非現実的である。「うちの家庭ではそのように指導しています」というのであれば特に何も言うことはないが。

 

さて、ここで問題なのが「家族で端末を共有すること」がランキングや評価システムの信用を毀損する恐れのある行為に該当するのかどうかである。

普通に考えれば、該当しないのである。

ただし、本当に「スマートフォンや携帯電話の端末を共有しているだけ」であれば、だ。

引用元:https://syosetu.com/site/rule/

そもそも規約では「同一端末からたくさんのアカウントを作らないでね」とは言っていない。「ひとりでたくさんアカウント作らないでね」「たくさんの人でひとつのアカウントを使わないでね」と言っているのである。

そのことからも運営側で「これは同一人物がいくつかのアカウントを使って活動しているな」と判断できる材料があり、その上で特定の作品に評価点を入れたことがBAN理由になったのだろうと、おおよそ推測できる。

あくまで仮説だが、これが正しいとすれば「2.家族と同じPCを使っていたらBANされた」「3.友達の家でPCを借りてログインしたらBANされた」も同様の理由だろう。

さて、これで挙げていた理由のうち4つが消えた。意外と早かったので、正直驚きである。

  1. スマートフォンや携帯電話を家族と共有していたらBANされた
  2. 家族と同じPCを使っていたらBANされた
  3. 友達の家でPCを借りてログインしたらBANされた
  4. 職場/学校のPCを使っていたらBANされた
  5. 職場/学校のWi-Fiを使っていたらBANされた
  6. 店のWi-Fiを使っていたらBANされた
  7. 友達の家のWi-Fiを使ってログインしたらBANされた
  8. たまたま自分の作品を家族が評価・ブックマークをしたことでBANされた
  9. 何もしていないのに急にBANされた

 

次に、少し毛色が異なる「4.職場/学校のPCを使っていたらBANされた」を見てみよう。

こちらはつまり、職場や学校において複数人が利用することが前提となっているPCからログインしてアカウントを利用し、「急にBANされた! 他の人がPC使って別のアカウントにログインしただけだ! 自分のアカウントはひとつだ!」という主張であった。

有り得ないことではない。専用のPCがない職場や学校もあるだろう。

しかし、そんなことは運営側でも想定できる範囲である。

いくらスケベに厳しい童貞運営とはいえ、普通に考えれば分かることを想定していないわけがないだろう。(仮にも会社としてサービスを提供しているのだから流石に想定していてほしい)

結論としては、上記1~3と同じく「これは同一人物がいくつかのアカウントを使って活動しているな」と判断したものとして仮説できる。では、どうしてそう判断したのか、だ。

 

実は筆者、かつてPBC──いわゆる「なりきりチャット」のサイト運営にかかわっていたことがある。急に何の話を始めたのかと思うだろうが、少しだけ付き合っていただきたい。

そのサイトではユーザー登録を行い、更にはチャットで使うキャラクターを登録した上で利用することになっており、「1人が登録できるキャラクターは3人まで」という制約をつけていた。が、どうしても3人では足りないという人がこっそり4人目以降を登録することがあった。ユーザーAとしてキャラクター3人、ユーザーBとしてキャラクター3人という具合である。

これはもう立派なルール違反だが、このユーザーAとBが同一人物であると判断できない限りは「やめてください」とは言えないのである。しかし、大抵はバレる。何でバレるかといえば、

 

メールアドレスの文字列がめっちゃ似てる(aiaisa20230505@~ と aiaisasa20230505@~ のような感じで大体はフリーメアドである)

パスワードが同じ文字列、または酷似(たまにメールアドレスの文字列と一致しちゃうこともある)(パスワード忘れを防止するために使い回しているのだろう)

文章の癖が全く同じ(詳しくは言えないが、特有の言い回しや特徴的な誤記や誤変換等が一致するともうほぼクロである)

習慣化している動きが完全に一致している(ざっくり言うとサイト内にあるコンテンツページを、いつも同じ順番で辿るなどである)

 

などでバレバレなのだ。もちろん、それらを確認した上でIPアドレスやらユーザーエージェントやらアクセス履歴などを調べるわけだが、例えば毎日毎日同一の時間帯に同一端末から同一パスワードで異なるアカウントA・Bにログインしている場合「別人です」と判断する方が難しいのである。

さて、話を戻そう。

以上の経験から、恐らくそういったところで運営も判断しているのだろうと筆者は感じている。

ざっくりまとめると、不特定多数が利用することが前提となっている端末やWi-Fiの利用のみでは同一人物であるとは判断できない=不正なアカウントの所持とは見なされないと考えられる。

これはあくまで考察であり仮説であるが、こうなると「5.職場/学校のWi-Fiを使っていたらBANされた」「6.店のWi-Fiを使っていたらBANされた」「7.友達の家のWi-Fiを使ってログインしたらBANされた」についても、同様の理由で

お前、ひとりでいくつかアカウント使ってるな? または、正当な理由なく評価点を入れたな?と判断される何かがあったのだろうと思われる。

 

そうなってくると、最後「8.たまたま自分の作品を家族が評価・ブックマークをしたことでBANされた」という、運営側の誤解によって処分を受けてしまうという悲しい出来事が起こる可能性は残る。たまたまなのだから、ランキングや評価システムの信用を毀損する恐れのある行為に該当しようもない。だって、たまたまなのだ。家族であろうが友人であろうが、読者は読者。「読んだ作品を気に入って評価点を入れる……」当然の利用方法である。これが正当でなければ、何が正しいのか分からないほど真っ当な利用の仕方だろう。

これは本当に全く有り得ないとはいえない。

たとえば1台の自宅PCからサイトを利用している夫婦がいたとして、入籍日が8月8日だとしよう。フリーのメールアドレスを夫「kinennbi0808@~」、妻「kinennbi_0808@~」で取得していてもおかしくはない。だって結婚記念日だもん。二人の記念日だもん。といった具合である。そして、二人とも同じ趣味を持っていて、同じようにサイトを利用しているとしてもおかしくはない。

そう、おかしくはない。どんなに利用時間帯が一致していても、同じ生活リズムであれば不自然ではない。

 

では逆に考えてみよう。

この夫婦、何があればランキングや評価システムの信用を毀損する恐れのある行為に該当するか、または同一人物が2つのアカウントを使っていると感じるか。

筆者なら経験則からこう考える。

  • 2つのアカウントの両方が、全く同じ作品しかブックマークしていない場合
  • 全く同じ作品にしか評価点を入れていない場合
  • 全く同じページにしかアクセスしていない場合
  • 互いの作品にのみ評価点を入れている場合
  • 検索する文言やその傾向、趣味、好みが全く同一である場合
  • 名前や生年月日などの登録情報やパスワードが完全に一致している場合

夫婦だろうが親子だろうが友達だろうが兄弟だろうが恋人だろうが、前世から結ばれている運命の人であろうが、読む作品も評価する作品も検索する文言も同じで好むジャンルも同じなんてことはまず現実的ではない。

 

一致していてもおかしくない部分を見るのではなく、一致していると不自然であるところを見ると考えれば良いはずだ。

 

人間のやっていることである以上、いくら運営側の裁きであったとしても未だかつて誤BANが全くなかったとはいえないが(そもそも誤BANで復活したことのあるユーザーが存在する)、BANされた側のツイートからおおよそ推測することはできた。

 

そのうち、作品BANについてもツイートから読み取って考察してみようと思う。そのうち。そのうちね。