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なろうは果たして「女性向け」となってしまったのか②

1.ランキングの調査方法

さて、昨年9月に「なろうは果たして「女性向け」となってしまったのか」という記事を書いた。

yoshi-kei9090.hateblo.jp

既に4ヶ月が過ぎ去ろうとしていることにも、

2024年1月が半分終わることにも驚愕している。

話を戻そう。

前回は、詩とエッセイ以外のジャンルで女性向けと判断できる作品は、42.8%だった。では、今月はどうだろうかとふと思ったため、自分の好奇心を満たすために調査してみた。

 

1.ランキングの調査方法

ランキングの確認方法は前回と同じ。今回も全件を確認しているとさすがに頭がおかしくなってしまうため、条件は以下の通りとした。また、特定作品の宣伝などを行う意図はないため、作品タイトルは伏せて集計結果だけを掲載する。こちらも前回と同様である。手抜きではない。

  • 各ランキングの「月間」で比較する
  • 各ランキングにおける「1位~10位」を対象とする
  • タイトル・あらすじから判断できる主人公または主役級の人物で判断
  • 悪役令嬢モノ、女性が主役の恋愛モノ(婚約破棄、偽装結婚含む)は女性向けとして定義
  • TSモノは元々の性別で判断(元の人格が残っていると判断できる場合)

 

2.月間ランキングBEST300

結果:聖女×2、ご令嬢×3、婚約モノ×2、伯爵夫人、侍女、婚約破棄

という結果になった。未だに根強い「婚約破棄」だが、「愛されました・婚約しました」も並んできている。そして、例に漏れずご令嬢と聖女さまが強い。伯爵夫人はほぼご令嬢モノと見なしているが、夫人なので別枠とした。

女性向けほぼ100%としか言いようがない。

いいや、この結果だけでは分からない。分からないということで、もう少し見てみることにしよう。

 

3.ジャンル別月間ランキング

異世界(恋愛):女性向け90%、男性向け10%

やはり強いのは「令嬢」「聖女」あたりである。そして、それらと「婚約」が絡んでくるのが、もはや定番となっている。「婚約」が破棄されるか、求婚されて繋がるのかは分かれるところだが、ぶっちゃけ属性は同じである。その分かれ道で個性を出すべきだろう。

1作品のみ男性主人公のものだったが、それでも聖女さまから求婚されてという流れのため、属性的にはあまり違いはなさそうである。

現代(恋愛):男性向け100%

前回に引き続き「美少女に」「俺だけが」という鉄板ネタが多い。やはり受けが良いのだろう。自分だけを見てくれる天使のような美少女というのは、男にとって永遠の夢であり理想なのである。というわけで、「俺に注目する美少女」という属性は外せない。

ハイファンタジー:男性向け80%、女性向け20%

「おっさん」「幼女」「聖女」あたりがキャラクターとしてはブームのようだ。ついでに「スキル(ギフト)授かり系」と「追放」がまだ強い。やや女性向けかと思われる作品も発見したが、男は幼女も好き男性向けかどうかは読まないと分からないところである。

ローファンタジー:男性向け100%

このあたりは男性向けが強いようだ。ヒロインの属性に聖女なり令嬢なりは出てくるが、だからといって女性向けの展開ではないだろう。そういえば、最近はあまりハーレムモノがランキングを埋め尽くすこともないが、みんな一途になってしまったのだろうか。

純文学:男性向け80%、女性向け20%

前回よりも分かりやすくなっていたように思う。ところで、可愛らしい娘よりも醜い娘や身代わりを嫁がせようとするパターンは漫画広告でもよく見る気がする。

ヒューマンドラマ:女性向け90%、男性向け10%

前回同様、ヒューマンドラマとして結婚など恋愛の要素が強く、そもそも「人間関係はヒューマンドラマである」とした場合、何でもありなジャンルでもある。今回の確認では、ほとんどご令嬢モノという結果になった。相変わらずの人気である。

歴史:男性向としたけ80%、女性向け20%

前回のようなタイムトリップというよりは、「〇〇が(歴史上の人物)××だったら」「歴史上の人物になったら」というパターンになっていた。歴史ジャンルが実は一番流行りが変わりやすいのかもしれない。これは、なかなか大きな発見である。たぶん。

推理:女性向け100%

推理モノは現在アニメ化している作品がトップを走っており、その影響なのか完全女性向けに支配されていた。宮廷モノ、悪役令嬢モノが多く、むしろ二強となっている印象である。

ホラー:女性向け40%、男性向け60%

意味が違う怖さが混ざっている気もするが、きちんといわゆる「心霊モノ」も組み込まれていた。カクヨムから書籍化した例のホラーや間取り図の件など、ちょっとしたブームになりやすいホラージャンル。小説とは相性が悪いなどと一部SNSで言われていたこともあったが、未だに読み物として人気のジャンルだと思われる。

アクション:男性向け100%

前回「アクションモノは男性のものだ!とまでは言わないが、結果的に男性向けが多いという結果となった」と記載したが、完全に男性向けとなっていた。仮説が立証されたような気分である。とはいえ、ニチアサが好きな女性も多く、アクション俳優の人気で考えると「男性向けを好む女性向け」もあるかもしれない。主に顔ファンかもしれないが

コメディ-:女性向け60%、男性向け40%

聖女と悪役令嬢の多いこと多いこと。やはりどうにも根強い人気があるのだろうと思わせられる。男性主人公であったとしても、ヒロインや周辺のキャラクターがその属性を持っている場合が多そうだ。

VR:女性向け30%、男性向け70%

一部設定資料としての読み物が入っていたが、男性向け作品の設定まとめのため男性向けに分類した。こちらは前回は半々だったが、男性向けが上回る結果となった。

宇宙:男性向け100%

こちらも引き続き男性向けが占めていた。特にこのジャンルに限らないが、しれっとNTRモノが入っていることが多いようだが、それも流行りなのだろうか。昔は特殊性癖扱いだったような気もするが、なかなか気軽に寝取れる読めるようになったようだ。

空想科学:男性向け80%、女性向け20%

ところで「百合」は女性向けか男性向けか、どちらなのだろうか。男の娘ジャンルと似たような解釈が発生するような気がする。百合は主に男性向けだと思われるが、男の娘は男性向けの場合もあるが女性向けとしてBL扱いの場合もある。迂闊にどちら向けとは言えなさそうな気がしてきたので、あまり触りたくない、いや、有識者に判断は委ねたい。

パニック:男性向け100%

前回はVRとゾンビの二極化という結果が出ていたが、今回はゾンビが強かった。やはりパニックモノとなれば、ゾンビ。ゾンビといえばパニックものなのだろう。パンデミックモノだったとしても、ただの感染症よりはゾンビモノの方が話を広げやすそうな印象があるため、ゾンビの強さは仕方がないのかもしれない。

童話:女性向け80%、男性向け10%、他10%

前回は「ドラゴン」絡みの話が多く見られたが、今回は「夢食い(バク)」が食い込んでいた。確かに童話っぽさある。ちょっとした流行の機微を見るためにちょうど良いジャンルなのかもしれない。

詩:他100%

前回同様、ジャンルの傾向上、主人公がハッキリとしない、明確なストーリーのない作品が多いことから「他」に分類した。

エッセイ:他100%

上記に同じく。

その他:女性向け40%、男性向け60%

他ジャンルに女性向けが移動したのか、こちらは男性向けが多い結果となった。そもそも「その他」ジャンルの使いどころは難しいため、特定ジャンルで埋もれそうな場合の避難所になっている可能性を考えれば妥当ともいえる。

 

 

今回、女性向けと判断できる作品は39.4%となった。

もしかして男性主人公の女性向け作品が爆増した可能性も否めないが、意外と前回よりも下がったという結果になった。

定点観察をすれば何か傾向が見えそうな気がする。

ついでに、もっと深く中身を見てから分類をすれば結果は変わるだろうが、面倒くさいのでそのうち気が向けば何かしたいところである。