ここが変だよ!WEB小説~面白ポイントからツッコミまで~

なろう系を始めとしたWEB小説について書くブログ

なろうは果たして「女性向け」となってしまったのか①

さて、最近の小説家になろうは女性のものになってしまった、という話を聞いたことがあるだろうか。少し前からそのような話が出ていたことをふと思い出したため、真実は如何に、と思って検索しようとしたのだが、

 

検索サジェストから漂う不穏な空気が既にすさまじい。

ちなみに現時点(2023/9/20 0時)の検索結果は以下の通りである。

 

もうこちらのリンクなり何なりを紹介するだけにして、記事では扱わなくてもいいのではなかろうかという気持ちにさせてくれるこの並び。

しかし、それでは単純に検索の手間を省くだけの記事になってしまうため、ここからはリンク先の内容やSNSの反応をまとめる――などという、まとめブログや5chまとめ垂れ流しyoutubeのようなやり方ではなく、個人の独断と偏見のもとできちんと考察していくことにしよう。

 

1.ランキングの調査方法

まずはランキングを確認してみようと思う。本当にランキング入りしている作品が、女性向けばかりになっているかどうか、である。さすがに全件を確認していると頭がおかしくなってしまうため、条件は以下の通りとした。なお、真偽のほどが不透明になってしまうが特定作品の宣伝などを行う意図はないため、作品タイトルは伏せ、集計結果だけを掲載する。

  • 各ランキングの「月間」で比較する
  • 各ランキングにおける「1位~10位」を対象とする
  • タイトル・あらすじから判断できる主人公または主役級の人物で判断
  • 悪役令嬢モノ、女性が主役の恋愛モノ(婚約破棄、偽装結婚含む)は女性向けとして定義
  • TSモノは元々の性別で判断(元の人格が残っていると判断できる場合)

 

2.月間ランキングBEST300

結果:悪役令嬢、転生者♂×2、没落令嬢、子爵令嬢、伯爵令嬢、王女×2、聖女、悪役令嬢

というわけで、ほぼご令嬢が占めている結果となった。既に女性向け80%であり、検証開始1分で結論が出たようなものだが、もう少し見てみよう。

 

3.ジャンル別月間ランキング

異世界(恋愛):女性向け100%

これはもはや言わずもがなである。「溺愛」パターンが多いことから、「私だけを愛してほしい」の路線なのだろうということが窺える。

現代(恋愛):男性向け100%

「美少女に」「俺だけが」という鉄板ネタが多数見受けられた。やはり男としては「俺に注目する美少女」という属性は外せないのだろう。

ハイファンタジー:男性向け90%

「おっさん」と呼ばれる主人公がちらほら出ている。書き手がそのくらいの年齢なのか、それとも若年層的に「やる気ないけど実はできるオッサン」が人気なのだろうか。

ローファンタジー:男性向け80%

ここにきて、TS百合は果たして百合として認定していいのか問題が出てきた。見た目だけはそうなのだろう。ひとまず男性向けとしておく。これは男の娘問題でも同様である。

純文学:男性向け50%、女性向け30%、他20%

男女双方が主役、あるいは不明の作品があることは純文学ならではの特徴かもしれない。ある意味でバランスが良く、明確に男性向けの傾向があるとは言えないが、便宜上の分類で当てはめた。

ヒューマンドラマ:女性向け70%、男性向け20%、他10%

ここにくると短編が多くなってくるため、一時的な傾向だろうとは思われる。また、ヒューマンドラマとして結婚関連の話も入っており、恋愛の要素が強いものもあったことから、このジャンル自体が絶妙な立ち位置だと思われる。

歴史:男性向け80%、女性向け20%

学生やリーマンが戦国時代にタイムスリップ!という流れはよく見る。メインが歴史である以上、強いて女性向けとは思えないものの恋愛が絡む女性主人公の場合は便宜上は女性向けとする。

推理:女性向け90%、男性向け10%

意外にも現代社会ではなく宮廷モノが多く、主に侍女やメイドといった従者側の立場で推理する流れが目立つ。

ホラー:女性向け60%、男性向け30%、他10%

意外だが、確認時点ではホラーと恋愛、という組み合わせが多いようだった。完全に余談だが、男性主人公は「最愛の彼女がバケモノだった」パターンが多いが、女性主人公は「バケモノが最愛の彼になる」というパターンが多い気がする。

アクション:男性向け80%、女性向け20%

アクションモノは男性のものだ!とまでは言わないが、結果的に男性向けが多いという結果となった。

コメディ:女性向け70%、男性向け30%

何はともあれ、女性主人公がほぼ全て「〇〇令嬢」だった。伯爵令嬢から悪役令嬢まで、とにかく令嬢とつければ良いと言わんばかりに令嬢祭りである。確かに共通認識が出来上がっているため、導入もさくっと行えて良いには違いない。

VR:女性向け50%、男性向け50%

生き物ではないものが主役のものがあったものの、キーワードが「男主人公」だったため、そちらで分類した。SFジャンルはよく衰退している、本来のSFではないという意見を見るが、少なくとも現在のランキングを見る限りはVRMMOがメインとなっているため、言わんとしていることは理解できる。わざわざVRで別枠にしているのがその理由かどうかは不明だが、サイエンスファンタジーを求めている場合は難しいところだろう。

宇宙:男性向け100%

SFジャンルの一環だが、ほとんどがゲームの話、あるいはそれに付随する話のようだった。こちらもVR同様、サイエンスファンタジーとしての古き良きを求める場合は少しズレが生じる恐れが高い気がする。とはいえ、VRと合わせて時代の流れも感じられるところではあった。

空想科学:男性向け100%

書籍化作品がほとんどを占めていた。他のランキングよりもその傾向が強く見えたことから、固定ファンの存在が見え隠れしているように思える。

パニック:男性向け70%、他20%、女性向け10%

こちらは、VRとゾンビの二極化だった。しれっと異世界モノが入り込んでいるため、SFというジャンルで見ると絶妙なバランスに見える。

童話:女性向け60%、男性向け20%、他20%

流行りなのかそういう傾向があるのか、とにかく「ドラゴン」絡みの話が多く見られた。確かに童話に出てくる生き物かつFT設定にも耐えうる存在としては適しているように思える。

詩:他100%

ジャンルの傾向上、主人公がハッキリとしない、明確なストーリーない作品が多いことから「他」に分類とした。

エッセイ:他100%

上記に同じく。

その他:女性向け80%、男性向け20%

異世界モノ、悪役令嬢モノが目立つ。分類に迷った結果というよりは、埋もれ防止なのではないか。ともあれ、女性向けのものが男性向けを大幅に上回った。

 

 

詩とエッセイ以外のジャンルで女性向けと判断できる作品は、42.8%となった。前月分と比較しなければ何ともいえないところではあるものの、今まで主流が男性向けの作品であった場合は、「増えつつある」という印象を持ったとしてもおかしくないのではないだろうか。

実際にランキングを確認していると、「〇〇令嬢」「婚約/結婚」「溺愛」といった文言があらすじ・キーワード共に散見され、女性向け作品が多いという印象を受けた。

ぶっちゃけ

令嬢多いな 女性向けが多いと感じたことは確かである。

 

 

4.結論

ランキングにおける女性向け作品は42.8%であり、半数近くを占めている状態であった。

「増えている」かどうかについては比較ができていないため、不明だが、そう感じるだけの理由は確かにあるといえる。あと、ランキング調査は恐ろしく面倒くさい。

 

次回は別視点から確認できればと思う。